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 ぼそり3◎第2回(平成13年8月15日)
『サルも木から、ではすまない話』


 真に危険なものというのは、その危険性を予感させないものであります。ものによっては可愛いかったりします。時節柄、スズメバチのように非常に危険な生物が盛んに活動しているのを見ると、いやいや危険なものというのは見るからに物騒ではないかと、そのように思われる方も多いと思います。しかしながら、あれは彼等が周囲の危険に対抗するためにあのようになったわけで、その上そのことを喧伝してくれている点で実に良心的と言えます。本当に物騒なものというのは、真夜中に前触れなく高速で民家に突っ込んでくる居眠り運転のダンプカーのように、それ自体の意思とは裏腹に予告なく危険を及ぼすものなのだとワタクシは考えるわけです。

 新シリーズでありながら前置きの長さは変わらず申し訳なく思いますが、さて、かく言うワタクシ、前述のような意味合いの『危険物』からの襲撃を受けました。その危険物というのは、調理中の炒飯です。その日、ワタクシは常の通りの慣れた手つきでフライパンに溶き卵を流しこみ、あとは調理したことがある人におかれてはよくご存じの手順を軽快にこなしておりました。と、ここまでは炒飯もたいそうおとなしかったのですが、さて一度ひっくりかえそうかとスナップを利かせました次の一瞬、まだ若干炒飯未満であるソレの一部が宙高く舞い上がり、こともあろうにコトモアロウニッ、ワタクシの左足の上にばらりと降りかかってきたのです。急いで払いのけましたが、足の甲には飯粒大の水膨れが見る間にいくつも姿を現わ始めました。針に刺されたような痛みとその見ための悪さのあまり、右手人さし指でそっと触ってみるとこれがなかなかに面白い触感! みなさんも機会があったらぜひお試しください。

 じゃなくて、これが左足であったのは不幸中の幸いでした。もしフライパンの把手を持つ左手に降りかかっていたら、きっとフライパンごと炒飯未満のその物体を宙に放り出して二次被害として頭からそれらを浴びていたのではないかという可能性も否定できません。ここまでの話を総括すれば炒飯はおよそ料理とは思えないほど恐ろしい危険物であると結論できます。炒飯取扱国家資格検定を調理者に義務づけることを公約に衆院選に立候補したくなるくらい危険なのです。少なくとも、義務教育過程における家庭科の授業計画の中にかくのごとく危険なモノの調理実習は盛り込むべきではありません。

 えー、まあそういったわけでお盆のシーズンですね。もしこれをご覧の帰省中の方の中で、このような危険物をどうしても食べてみたい、そんな話を聞いたら食べずにいられるかっ云々と思われた方がいらっしゃるようでしたら、実家にいるときくらいは自分で作らず他の誰かに作ってもらうことを強くお勧めします。
「ねぇねぇー、今日はさぁ、冷やし中華とかじゃなくてさぁ」といった具合にお願いしてみましょう。ヤダ、と言われたらそのときは仕方ないので腹をくくってください。しかしながら、炒飯は『未満』の状態が危険なのであって、ひとたび完成してしまえば食用に耐える安全なものであることを念のため付記させていただきます。旨いかどうかは、これは場合によりけりですが。[K]


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