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ぼそり3◎第21回(平成16年12月15日)
『初台』
はじめに申し上げます。今回は、展覧会鑑賞リポートという内容のぼそりなのですが、かなりの長文となっています。ご覚悟を用意の上、以下どうぞ。
さて。
先日7日、東京オペラシティーアートギャラリーで開催中の「ヴォルフガング・ティルマンス展」を観てまいりました。ティルマンスは、イギリス在住の写真家です。同会場の上階で開催中だった「野又穫展」も見ました。こちらは、絵画です。この野又さんという方の作品は、以前なんかでチラと観たことがあり、ああー観たいなぁと思っていて忘れてたので、オペラシティーからぼた餅が落ちてきたような、チケットをもらって一見した瞬間にメインはこっちじゃんと、そんな風にも思ったのでした。
半・両A面、というか。ま、そういう気分でした。
といっても、そもそもの目的はティルマンス展。トイレを済ませて、さて拝見と。うわー、なんか、すごいいっぱいある、作品が。えーと・・・・・どれが何だね? もらった鑑賞ガイドには、小さい字でいっぱいの作品タイトルの列、そして列。これは、文字の大きさは、6ポイントくらい?
ま、いいや、いっぺんざっと見てからで。いつもの通り、まず一周。お、あー、上の方にも作品が貼ってある。(メンディングテープで貼ってある) うわぁ、これデカー。(デカいのはクリップとピンで留めてある) あれだな、ティルマンスの穴、みたいな気がしてくるな。見ていると。
写真家の作品展なので、当然作品はみな写真。
テーブルの上にフタの開いたジャムやバター。パンもある。ちょっとウマそう。食いさしで旨そうってのは、なかなかない。ボールに入った果物。このサクランボみたいのも、ツヤツヤして静かな中で活きがいい感じで。家の上をすっとんでいくコンコルド。おー、コンコルドだ。低いとこ飛んでんだな。近いなぁ。こりゃウルサイぞ。でも、実際見たら目で追うと思う。俺も高空を飛ぶジャンボ機を、じーっと見ていることがある。高いところを白い粒みたいな飛行機が飛んでいて、行ったあとから音が聞こえてくる。だから、飛んでいるのを見ているときは、音もなくスーっと移動している。あそこで、自分が見てるとも知らず、歓談したりお茶したり便所行ったりしてる人が300人くらい居るのだなーと思うと、乗り物ってすごいなーと思う。
そういえば、このまえ家の真上をブルーインパルスが編隊飛行してたな。轟音に驚いたのと、戦闘機みたいのが飛んでるのとでヒヤリと驚いた。ランドマークタワーのあたりを何回か旋回してた。筋雲をひいて。きっと、タワーの人の方がビックリだろうけど、住宅地に戦闘機ってコワイ。
なんか、時節柄、いささか不穏なものを見た気がしたものです。
お、ありゃ、キレイなコ来てるなー。へー。どっかで、見たことある気がする。モデルだったけかな。
うわ、なんだよ、睨まれた。
あっちにも、キレイなコが。となりにいるコは、なかなか、庶民的な感じで。
いやいや、ちゃんと作品を見ようよ。初台まで、何しに来たんだよ、お前は。
うん、うん。窓辺に植物、俯瞰の町並、友人、果物、バターとかジャムとかパン。色面がいっぱい、これはなんだろう。フワーっとしたの、これはカーテンみたい。薄い、レースのカーテン。
だんだんと、相対化、という言葉が頭に浮んできます。見ているうちに、自分の育ちが身に染むというか、なんというか。うっすらと腹が立ってもきます。
映ってるもの自体を見れば、かなりどうでもいいものもある。例えば、あなたの友人なんて、知らん、とかね。同じように、僕の友人なんか貴方にとっては知りゃーしない人たちで、ズバリどうでもいいものなのでしょう。そういう意味ではご同輩ですね、とか。
展示作品にたいして、強い反発を覚えることが割とありまして。
カヤの外の居心地の悪さという感じもするし、一方それは鏡に写った自分を見ての居心地の悪さかなという気もしながら、離れたところから向こうの壁にある作品群を眺める。
あー、鏡かー。写ってるものはみんな鏡なのだな、とも思う。ということだから、コンコルドという鏡を見て、そこに映るジャンボやブルーインパルスを僕は知らず知らずに見ているのだなー。モチーフそれぞれが、自分にとっての日々見知った何かを思い起こすための触媒としてそこにある、というのもあるのだな。っていうのは、まあ、こっちの事情だろうけど。多分に誤読というか。ともあれ、彼の友人たちを見て、僕は僕の友人たちを見るわけです。
で、鑑賞ガイドとパンフを、ここにきて初めて読んでみる。・・・フーン。
椅子に座って時々休む。そして客を見る。当然、みんな俺にケツを向けてる。
(だって、みんな作品を見ているのだもの)
さて、二階行くか。やっぱ、絵の具を見ないとさ! アクリル絵具、とある。ふむ、なおのこと。
ということで、いざ入場。こりゃー、また。空間をはらんだふうのと、量感的なのと、ある。このあたりのは、世界で一番高いとこに建ってるみたいな感じだ。この、帆だけで出来てるようなのは、倒れるよね、風少しでも。
でも、あれだ、ちょっと向こうっ気の表出って感じで。メソッドをひねっている感じ。赤裸々じゃあ、絵だしさ、描いてるときは服だし。つまり何かズレてるときって、絵を着てみると周りが、居心地悪いなーっていう。
あ、コレは。ザ・悪の居城? 名伏せ難き者がコッソリ住んでそうで住んでない。誰も居ないのに建物だけあると、建物から役目が消えてしまうのだなぁ。この横長の、風車たくさんの、いいな。すがすがしくも、向こうっ気がある。
(奥まで進んで、また戻ってきて)
うん、これイイね。華奢でデカい、ホントなら立たない、ただ回るだけの風車群。バベルの塔みたいのも幾つかある。どの塔も、みんな造りかけだ。多分これ、出来上がんないんだろうな。放置されたか、壊れかけだ。壊した、か。俺がちょっと壊しといたから、続きはどうぞ、とか。学芸員さん、バール下さい。と、心の中で言ってみる。
このガラス張りの塔は、中にいっぱい植物が植わってモシャモシャしている。しかし、この温室は、穴開いてるから、実際のところ温室じゃないな。バルーンのついた建物もある。柱がほっそー。上で支えてるって感じか。スペインの、あの造りかけの聖堂の、逆さに吊って荷重がどうのをチェックしたかなんかのロープと重石のダミー。を、描いてるわけじゃあないんだけどね。なんか重さの無さが、かえってちょっとハラハラする感じを生むなぁ。作品、吊って展示してるってのが、またね。よーし、あいだを通ってやれー。
あちらさん、「これ写真ですか?」だって。写真に、見えるのかなぁ。ああ、ティルマンス展のあとだから? そっかぁ、つながりあんのかなぁ。
さて、あと、もう一つあるんだね、展示が。でも、一服したいな・・・。(ちょっとくたびれてきた。初台に来るまでにすでに疲労。新宿は人が多い。でも初台には、あまり人がいない。)
横浜美術館だと、一服(一時)退場できんだけど、ここはそういうのないんスかねぇ。
喫煙者は、バレたらえらい目に遭う時代になってきましたが、そんなにアレならタバコなんか違法にすればいいのになぁ。こんなもん、なんで売ってるんだい。ニコチンにやられて二重課税にも文句を言わない喫煙者の群れの中の、一人。
(タバコの価格の約半分はタバコ税で、合算した価格から消費税額を算出しているので、タバコの価格に含まれる消費税の半分はタバコ税の消費税ということになりますが、これはガソリンも同じです。税金分の、価格に乗らないはずの消費税が乗っているという意味で、二重の課税です。そうじゃないとするなら、販売価格の半分ほどである商品のもともとの価格に対して10%の消費税が乗ってることになります。なんじゃいなー、もー。アフォか! こんなことを考えると、国畜などという言葉が浮んできます。国畜! クソー、もー!)
というわけで、ラスト、小西真奈さんという方の作品展示。野又展の会場の奥から正面へ抜ける廊下が、その展示スペース。若き才能をフューチャーするシリーズ展示の19回目、とのこと。
デカめのがズラーっと10点余並ぶ。すごい、筆運びの速そうな絵がズラーっと。サクラの木を、こういう風にかぁ。うむうむ。(腕組みして見る) サクラに、動きがある。生命感ではなく、時間の経過のような。今、満開だけど、一瞬あとには全部散ってそうな、止められぬ今の時間の代表のような。この、ヌタッと明るい芝生の緑。葉の緑とか、緑に何かある気もする。ディテールが省かれてる分、画面が明るい分、薄情というか、さめているというか。
うーん、今何時だ。む、5時近いな。けっこう(時間的には)観たぞ。さて、帰るか。
というわけで、まっすぐおうちに帰りました。【K】
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