|
ぼそり3◎第22回(平成16年12月15日)
『鎌倉・大町』
今回のぼそりも、展覧会リポートです。前回ほどではないですが、今回もなかなか長い文章となっております。鎌倉の観光ガイド、という側面はあまりありません。すいません。
さて。
去る12月11日、午後から鎌倉の大町という辺りに行ってきました。鎌倉の大町というところにあるGENBAGENというお店兼ギャラリーという様子のとこで催し中の西村玲子さんという方の作品展を観る、という用事です。鎌倉というと遠いとこ、という印象の人も多そうですが、僕んちからだと歩きも入れて45分ほど。ちょっとそこまでレベルです。
先月、みなとみらいで大庭さんという方の個展を観に行って、一時間くらい観ていたらコーヒーを出してくださって、僕は実はコーヒーは苦手なんですが、ともあれ、その際に今回の西村さん
の個展のDMをいただいたので、里帰りの機会を得たように思い、出無精クセを押して出かけた次第というわけなのです。
つまり、西村さんは、僕にとってまったくの未知の人です。
鎌倉駅から大町へは、ちょっと歩きます。若宮大路をたどって海の方へ、途中で通りを越えて逗子方向へ。横須賀線の線路にかかる踏切を通って向こう側が、大町です。駅からだと、1キロくらいあるのかな。ちょっと、分かりませんけども。
この界隈は、鎌倉といえばハイソな感じという雰囲気はなく、生活感のある、昭和の残存部隊といった風情の薬局やなんかのお店と、今どきな作りのアパートやお家が道沿いに並んでおります。ビルもありませんし、向こうに山が見えたりし、若宮大路のにぎやかさとは対照的にうーんと静かで、踏切り越えたら別次元、という感じのする町です。好きな人にはたまらんだろうなーと、友達の何人かを思い描きつつ歩きます。
で、会場のGENBAGENへ。知らなかったら何屋さんかまったく分からないなこれは、という構えのお店。通りに面しては全面ガラス戸サッシで、店内はまるっきりまる見えですが、それがかえって何だか分からなさを加速しているような印象です。
もとは、何か別の商店だったような感じで、木造とトタン作りの懐かしさのある外観をしております。間口はそう広くはない、小粒な感じのお店です。
(向かって右側の店内のテーブルでお茶してる方々がいて、これがまた知らなかったまず入れんムードを醸し出しているのですが、僕はDMで知っているのでガラリと戸を開け、横浜市民の意気地をもって堂々と入場するのです。港町の者は、オープンマインドであるべしです。ただ、横浜市長の中田氏によれば、生粋のハマっこと言えるのは三代続いた横浜生まれというのが一つの基準だそうで、僕の場合は祖父母はみな横浜暮らしは相当長いですが生まれはよそなので、まあ、その基準に照らせば、ちょっと惜しかったねっていう感じです。生粋の神奈川県民か、ということならば、胸を張ってイエス!と言えるんですが。)
西村さんは、なかなか長いこと活動している方のようで、今回の作品展ではマンガ的な作品をズラリ並べてらっしゃいます。2ページか、4ページくらいの短編連作。細ーい描線です。描き込みをギシッとするという感じではなく、サラサラと、するるーとザックリとデフォルメというか、ドローイングっぽいというか、イラスト的マンガという感じの絵です。そのあたり、オトメ的なものを感じますが、内容も現実と空想を股にかけていて、ホンワリとチクリが同居する、そんな作風です。たとえば「ヘルプマン」という連作には、過大な期待を寄せる親や自分の夢を押しつける親などに困っている子供を主人公のヘルプマンが子供の在りたいようになるようにちょっと手助けする、というお話が描かれています。1話2ページくらいの短編です。今日的な感じもしますが、お店の方の話では最近作ではなく、だいぶん前の作品で構成しているとのことです。
現在は、イラストレーターでありエッセイストとしても活動しているとのことで、著作もなかなかに多いそうです。当日も、最近刊行された著作本が置かれていて、パラパラとですが拝見しました。その中のイラストはクレヨンで黒一色、抽象化された人物や何か、四角などのパターンをグイと一発描き、という感じで、良いじゃないか、と思いました。イラストだ!と思いました。
(そして、お店の方に貴方もコミック作家ですか、と聞かれました。コミック作家って初めて聞くなぁ、と思いつつ、いえ、イラストを描いております、と答えました。僕は、昨今、世がよろず作家ばかりとなっていて、作家とはそんなに間口の広いものかなぁ、ヘンだなーと思ってるのですが、自分がよそ様からイラスト作家などと云われさえしなければ、他の方々の呼ばれようについてはある程度黙認しよう、と考えております。といって、お店の方の言いようを批難するものではありません。そう言い表わすのが妥当な活動の形態をとってらっしゃる方もいる、という風に想像します。多方面的に仕事などしていたら、なおのことです。なんにしても、お店の方は丁寧で感じの良い方でした。横浜では、あまり見ないなぁ、こういう人って、思いました。横浜って、けっこう雑な町ですから。)
今回も、なんだかんだで一時間ほど観ておりました。お店の片隅にテーブルがあり、幾人かのご婦人方がお茶をしつつ歓談なさっております。いかがですか、西村さんもいらっしゃいますが、ずいぶん熱心にご覧になってらっしゃったようですし、と色々お話を聞かせていただいたお店の方に勧められましたが、皆さん方に挨拶だけして、お茶は辞しました。上品なお姉さま方の中に若輩の男一人っていう構図に、すこし遠慮が出ました。
しかし、僕はそんなに熱心に見えたか、普通一時間くらい観るのではないかなぁ、大きな展覧会ならいざしらず、個展であれば一つ一つをよく見るのも苦ではなし。と、そんなことを考えながら帰りました。
午後6時、外はもう真っ暗でした。【K】
|
|